「伊賀越道中双六」の魅力 「岡崎」を中心に②
2013年10月30日更新
2013年9月18日犬丸治FBから。
(9月)国立小劇場・文楽「伊賀越道中双六」。
第三「円覚寺の段」のあと、原作では第四「郡山宮居の段
しかし今月の文楽、十一月の国立劇場の歌舞伎でもこの場
この場については、十一月の歌舞伎の時に詳しく申し上げ
この苦衷が第八「岡崎」へと続いていくのです。
さて、今月の文楽は第六「沼津」で昼の第一部を終えます
これまた十一月に譲りたいと思います。
夜の第二部は、「岡崎」というメインディッシュがどんと
以後この「岡崎」に向けて話を進めていきますが、まずは
この「伊賀越」という芝居、全編男性的で沈鬱重厚、骨太
そこで作者の近松半二が「息抜き」にと考えたのが、この
十兵衛の印籠で刀傷も癒えた志津馬は、藤川新関で政右衛
ここに、飛脚の助平が通りかかり、監視用の遠眼鏡で覗い
と書いてしまえばそれだけですが、ここは飛脚の助平が存
しかし、その悲哀を際立たせるために、喜劇的な局面、趣
「朝顔話」の「笑い薬」とか、「桂川・帯屋」で義弟の儀
ここでは、助平が「茶の字尽くし」のセリフ(歌舞伎から
今月は紋寿休演で勘十郎が昼平作、夜幸兵衛と並んで勤め
原作では、引用しにくい際どいコトバが書かれていて、お
「新薄雪」の花見の遠目鏡もそうですが、歌舞伎や文楽で
歌舞伎でも、昔は手練のワキ役が演じて沸かせたのですが

- 犬丸 治 いぬまる・おさむ
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演劇評論家
1959年東京生れ。慶應義塾経済学部卒。
「テアトロ」「読売新聞」に歌舞伎評掲載。歌舞伎学会運営委員。著書「市川海老蔵」「歌舞伎と天皇 『菅原伝授手習鑑』精読」(いずれも岩波現代文庫)ほか。